【短編】わたくしの婚約者になってください。

「……頭、痛くなるわー……」

 額に手を置いて、やれやれとばかりに頭を横に振る。

 このあまたの中から、一人を選べと? ゆっくりと息を吐いた。

 より取り見取りすぎて、ありがたいわ。

 ――それだけ、『ウェイド公爵』の座は、魅力的に感じるのかもしれない。

 領地は広く、作物も豊富だ。

 魔物が出た場合は、わたくしがまとめている『プリエ騎士団』が領民たちを守りに向かう。

 領に出現する魔物は、ゴブリンやスライムという小さくて数が多いものや、団体で行動するワーウルフ、一匹でも脅威なトロルまで、なんともさまざまな魔物が領民たちの暮らしを脅かしている。

 プリエ騎士団は、精鋭揃いだ。

 もちろん、わたくしも自ら剣や魔法を振るい、敵と戦っている。

 生まれて二十年。ウェイド公爵家の一人娘として、修行に打ち込んでいた。

 ウェイド公爵家は、王族と国民を守る盾。

 その家系に生まれたからには、我が身を守るだけではなく、王族と国民を守る盾になるように、剣術と魔法を叩き込まれる。

 当時のことを思い出すと、よく耐えたな、と自分でも感心するほど。

 女だからという理由で(あなど)る者も多かった。