簡単な話だ。王都の学園に通っていたとき、たまたま彼が絵を描いているところを目撃した。
今でもしっかりと思い出せる。リオが描いていた戦乙女のことを。
人気のない旧校舎の教室で、ひっそりと描いていた姿も。
『見事なものだな』
『あ、ありがとうございます……』
まさか見つかるとは思わなかったのか、驚愕の表情を浮かべていたな。それが、始まり。
彼の絵は人を魅了するものだと感じた。一目視界に入れただけで、心を奪う。
学園を卒業してから、わたくしはプリエ騎士団を率いて領地を守っていた。
リオは王都のアトリエで、ずっと絵を描いていたらしい。
「ただ、ひとつ、問題がある」
自身の口から出た声は、硬い。声を震わせなかった自分を褒めたいところだ。
「問題?」
くるりと背中を向け、長い髪を上げてみせる。
ひゅっ、と彼が息を呑む音が聞こえた。
長い髪を下ろして隠していたが、背中には大きな傷痕が二つ残っている。
魔物から領民を庇うときについた傷痕。この傷痕を身内以外にさらけ出すのは初めてだ。
身体は、震えていないだろうか。どんな反応が返ってくるのかわからなくて、鼓動が早鐘を打つ。
普段は、背中が空いているドレスを着ない。
ただ、今日だけはどうしても着たかった。
この傷痕は名誉の負傷だと思っているが……女性の身体に傷があることを嫌がる男性は、多いだろうから。
果たして彼は、この身体をどう思うのだろうか――……パーティーに参加する男性一覧に名前が載っていたから、結婚するつもりはあるのだろうと判断した。
今でもしっかりと思い出せる。リオが描いていた戦乙女のことを。
人気のない旧校舎の教室で、ひっそりと描いていた姿も。
『見事なものだな』
『あ、ありがとうございます……』
まさか見つかるとは思わなかったのか、驚愕の表情を浮かべていたな。それが、始まり。
彼の絵は人を魅了するものだと感じた。一目視界に入れただけで、心を奪う。
学園を卒業してから、わたくしはプリエ騎士団を率いて領地を守っていた。
リオは王都のアトリエで、ずっと絵を描いていたらしい。
「ただ、ひとつ、問題がある」
自身の口から出た声は、硬い。声を震わせなかった自分を褒めたいところだ。
「問題?」
くるりと背中を向け、長い髪を上げてみせる。
ひゅっ、と彼が息を呑む音が聞こえた。
長い髪を下ろして隠していたが、背中には大きな傷痕が二つ残っている。
魔物から領民を庇うときについた傷痕。この傷痕を身内以外にさらけ出すのは初めてだ。
身体は、震えていないだろうか。どんな反応が返ってくるのかわからなくて、鼓動が早鐘を打つ。
普段は、背中が空いているドレスを着ない。
ただ、今日だけはどうしても着たかった。
この傷痕は名誉の負傷だと思っているが……女性の身体に傷があることを嫌がる男性は、多いだろうから。
果たして彼は、この身体をどう思うのだろうか――……パーティーに参加する男性一覧に名前が載っていたから、結婚するつもりはあるのだろうと判断した。



