組長様は孤独なお姫様を寵愛したい。

「朝5時に起きてから1時間ごとにこの子の部屋に来てた頭に言われたくありません。」



…………ん?

今の羽山さんから聞こえた言葉は本当なのだろうか。


えっと、私が起きたのは確か10時だから1時間ごとに来てたならもう既に5回は来てたってこと??



「……羽山、今日の仕事聞きに来たんだよね?じゃ今日は "アレ" で決まり。はい、今すぐでてけ。」



何やら焦った…というよりもどちらかと言うと怒った様子の橘さんは

ボコっと1回羽山さんに蹴りを入れてそう言った。



「頭…すみませんでした。" アレ " だけは勘弁し「早く行け。」


もう一度蹴られた羽山さんは折れたのか静かに部屋を出ていった。

と、一方の私はどうしても "理由" が気になっていたため、すぐに口を開いた。



「…どうして5回も、見に来てたんですか?」


「………さー?」



な、

さっきも誤魔化されたのにまた誤魔化そうとしてる…??


う、でも気になる。



「おしえて…ください。」



普通だったらもうそれ以上聞かないけど私が寝ているのを5回も見に来ることがあまりにも不思議で、どうしても気になって、


橘さんの着物の裾をキュッと掴んでまた聞いてしまった。