組長様は孤独なお姫様を寵愛したい。

「ふ、お前は自分の主人になる人の名前も知らなかったんだ?」



ほらやっぱり。


聞かなきゃ良かった、




「ごめんなさ「橘 天嶺。」


謝ろうとした私の声に、威圧感のある声が被さった。



「俺の名前、橘 天嶺だよ。」


たちばな、あまね…さん?

絶対に言ったらいけないことだけどちょっと女性ぽい名前に驚いた。


でも凄くこの雰囲気に合っている。



「橘さん、って呼んでいいですか?」



名前で呼ぶのは本当に恐ろしいし…。



「……うん、いーよ。」


「ありがとうございます。」



と丁度会話がキリのいいとこで終わったとき、「入ります。」と聞こえて襖が動いた。



「夕飯2人分持ってきました。」

そこには何やらご飯のようなものを持った羽山さんの姿が。

ほ…、ともう橘さんと2人きりじゃなくなったことに安心する。


「おーご苦労。じゃ羽山はもう下がっていーよ。」



だけどその安心は橘さんの発言によってまたすぐに不安に変わった。


…え?

じゃあ私は…?



羽山さんは返事をするとまたすぐにサッと部屋の中から居なくなってしまって再び2人きりに。


様子を伺うように橘さんを見ると、こっちを見ていたのか目が合ってしまった。