組長様は孤独なお姫様を寵愛したい。

この男の人の…横?


私、寝てる時に殺されたりしないよね。



「はい。」


だけど嫌だなんて言えないから従うしかない。

それに部屋があるだけありがたいことだ。



「じゃ、一旦飯にしよーか。…羽山。」



男の人はそう言うと今の今までずっと黙っていた羽山さんの名前を呼んだ。


その先は何も言っていないのに羽山さんは了解した、と言うように部屋を出ていってしまった。



…つまり私と男の人が2人きりに。



羽山さんが出てからお互いの間に沈黙が走る。

さっきまでこの人がずっと話していたから、この人が黙ると結果的に沈黙が生まれてしまう。


" 機嫌は損ねないように "


ここでまた羽山さんの言葉を思い出すなんて…。




「あ…の。」


勇気を出して声を振り絞るけど小さすぎて多分聞こえていな…



「んー何?」



聞こえてた…?


「…お名前を教えて欲しい…です。」



必死に何か話題がないかと思って出てきたのは名前を聞くこと。


自分を買った人の名前も知らないのかと怒られるかな、と聞いてしまった後に後悔する。