+湯けむり連続自殺事件

「うがああっ、あぐぁっ、ああっ、がっ……!」

ぼろぼろになった腸が、刃の動きにともなってぼとぼとと床に転がる。


「……ぁが、が……あ……」

小さな穴が集まって、大きな穴になる。

蛇が這い出るように臓器がぞろりと床へ滑り出た時、ようやく男の自殺行為は終わった。

血の海に、男がべたりと伏す。

「なんて、自殺なの……」

こんな自殺の仕方をするだろうか。

こんな自殺を選ぶ必要があるだろうか。

人間は、死ぬのなら安らかに、楽に死にたがるだろうに。

おかしな、おかしな、しかし完全なる、自殺。

「おいっ、今のなんだよ!」「すごい悲鳴だったわ!」「またなにかあったの!?」

「!」

廊下を何人かが走ってくる音を聞いた真輝は、慌てて現場から逃げ出した。