私は、この村へくる前のように、上手く笑えただろうか。
姉上が好きだと言ってくれたような笑顔を、作れただろうか。
しゃがん。
男の顔面へ錫杖を打ち下ろしながら、笑顔を。
……どうでもよいか。目の前の異常を、祓えるのならば。
「っ、が、ひっ、い……!? な、な、な……!?」
鼻から血を吹き出しながら瞠目する男が、尻餅を突いた。
男の顔に浮かんでいるのは不安か、恐怖か、あるいは裏切られたという衝撃か……
なんであろうと、構わない。
「腐り淀んだ煤は、祓ってしまわなければなりませぬ。貴方がわたくしに祓われることこそ、この世の救いにございますゆえ」
ただ、その青ざめた顔とがちがちと震えている歯の音が、私を満足させる。
私の正常が、目の前の異常を祓えと叫ぶ。
「……――、けがらわしい」
錫杖の石突を一度、地に打ち付けた。
金の環が跳ね、しゃらん、という澄んだ音色が響く。
同時に、足元で震えていた男の体が、真っ黒な灰となって崩れ落ちた。
ああ、ご覧ください姉上……姉上のお教えくださった聖音法術が今また、異常なるものを祓いました。
姉上が好きだと言ってくれたような笑顔を、作れただろうか。
しゃがん。
男の顔面へ錫杖を打ち下ろしながら、笑顔を。
……どうでもよいか。目の前の異常を、祓えるのならば。
「っ、が、ひっ、い……!? な、な、な……!?」
鼻から血を吹き出しながら瞠目する男が、尻餅を突いた。
男の顔に浮かんでいるのは不安か、恐怖か、あるいは裏切られたという衝撃か……
なんであろうと、構わない。
「腐り淀んだ煤は、祓ってしまわなければなりませぬ。貴方がわたくしに祓われることこそ、この世の救いにございますゆえ」
ただ、その青ざめた顔とがちがちと震えている歯の音が、私を満足させる。
私の正常が、目の前の異常を祓えと叫ぶ。
「……――、けがらわしい」
錫杖の石突を一度、地に打ち付けた。
金の環が跳ね、しゃらん、という澄んだ音色が響く。
同時に、足元で震えていた男の体が、真っ黒な灰となって崩れ落ちた。
ああ、ご覧ください姉上……姉上のお教えくださった聖音法術が今また、異常なるものを祓いました。

