「本棚は分けましょう。
兄妹といえど、そこは分けましょう」
……何故、お前は本にはそう厳しいんだ。
「本は持っていってもいいです。
でも、それが私の所有物であるということはハッキリしていただきたいっ」
一彩は本が好きすぎた。
「あっ、でも、ほんと。
いつでも本、持ってっていいですよ~、私いなくても、夜中でも」
寂しく去り行く彰宏の背に、一彩がそう呼びかけてくる。
廊下の端で見ていたすみれに、あとで一彩が、
「やだー、なに口説いてんの?
夜中でも入ってきていいだなんてー」
とからかわれ、赤くなったりしていたことも知らずに、彰宏は、
なにも伝わらなかったし。
なにもいい雰囲気にならなかったな、
と落ち込んでいた。
だが、そのおかげで、
よしっ。
家に帰ったら、バシッと言うぞ、と覚悟が決められ、本物のプロポーズに繋がったのではあるのだが――。
兄妹といえど、そこは分けましょう」
……何故、お前は本にはそう厳しいんだ。
「本は持っていってもいいです。
でも、それが私の所有物であるということはハッキリしていただきたいっ」
一彩は本が好きすぎた。
「あっ、でも、ほんと。
いつでも本、持ってっていいですよ~、私いなくても、夜中でも」
寂しく去り行く彰宏の背に、一彩がそう呼びかけてくる。
廊下の端で見ていたすみれに、あとで一彩が、
「やだー、なに口説いてんの?
夜中でも入ってきていいだなんてー」
とからかわれ、赤くなったりしていたことも知らずに、彰宏は、
なにも伝わらなかったし。
なにもいい雰囲気にならなかったな、
と落ち込んでいた。
だが、そのおかげで、
よしっ。
家に帰ったら、バシッと言うぞ、と覚悟が決められ、本物のプロポーズに繋がったのではあるのだが――。



