突然、課長と秘密の関係になりました

 仕事で問題点を洗い出すときのように。

 一彩が誰かに持って行かれてしまうパターンを次々と想定してみた彰宏は、先ほどのやり遂げた爽快感も吹き飛ぶほど、落ち着かなくなっていた。

 いや、自分で作ったチョコを自分で手に入れただけなのだが……。

 時間が来たので仕方なく、出張に行くため廊下に出ると、ちょうど向こうから一彩がやってきた。

 な、なにか言わなければっ。

 でも、ここは会社だしっ。

 なにかこう、さりげなく、一彩になら、伝わりそうなプロポーズを――っ!

「あ、課長。
 お疲れ様ですっ」
と一彩が愛らしく微笑んでくる。

 ちょっと前まで、自分を見たら、常に身構え、ビクビクしていたのに。

 ……いや、自分がこの部下、仕事はできるが、抜けているところも多いので、厳しく指導しなければ、と思っていたせいなんだが。