突然、課長と秘密の関係になりました

 騒がしい面々はそのままダイニングに向かう。

 なんだか、家族でやりそびれた子ども時代を今やってるみたいだと、一彩は笑う。

 広い廊下をみんなと少し歩く一彩に、彰宏が歩調を合わせてきた。

「どうした?」

「いえ。
 家族だな、と思って」

 課長、と横を振り向き、呼びかける。

「普通に付き合って結婚したら、同居するにあたり、いろんな不安があると思うんですけど。

 私はもう、あなたがどんな家族になるか知っています。

 その分、ちょっと安心かなって思います」

「……一彩」

「あっ、そういえば、やり直したいこと、私にもありましたよ」

 ほう、と彰宏がこちらを見る。

「来年のチョコは、ぜひ、横に割りたいです」

 彰宏はちょっと笑ったあとで、足を止めた。