夕方、一彩は、一征、浩司、彰宏と争うようにアヌビスの散歩に出た。
途中、買い食いをして、夕食前なのにと子どものように朱鷺子にみんなで怒られる。
「アヌビスの散歩、明日は僕ねっ」
と洗面所で手を洗う順番待ちをしながら、浩司が言う。
「お前、忙しいんだろ、俺が行く」
と一征が手を拭きながら言って、そっちの方が忙しいだろ、と言われていた。
「じゃあ、俺たちが行くよ」
と言う彰宏に、一征が文句を言う。
「さらっと俺たちとか言うなよ。
なんで、そこはペアなんだよ」
「……職場が一緒で、帰る時間がだいたい一緒だからだよ」
と彰宏は言っていた。
「僕はアヌビスも一彩ちゃんも諦めないからね」
「何故、犬とひとくくりだ……」
と彰宏が浩司に言う。



