突然、課長と秘密の関係になりました

「少しは俺に好意を抱いてくれているようだが。
 お前がまだ、俺がお前を好きなほど、俺のことを好きじゃないのは知っている」

 ――なんてビックリするようなことを言うんですかっ。

 課長がそんなに私を好きとは思えませんがっ、と一彩は彰宏の口から出たとも思えない言葉に驚く。

「俺はいつの間にか、今までの人生で出会った誰よりも、お前が好きになっていたようだ。

 お前が俺を好きにならなくても。

 いつか誰かと出て行ってしまっても。

 何度でも、俺はお前とまた出会いたい。

 何度でも新幹線ですれ違って、勝手に運命を作り出すぞ」
と言い出す。

 思わず笑ってしまった一彩の顔を見ていた彰宏が、一彩の膝の側に手を置き、身を乗り出してきた。

「あ、えっとあの……っ」
と恥ずかしくなって逃げようとしたが、どしっ、とアヌビスが膝に乗って、動けなくされてしまった。

「お利口だ、アヌビス」
と笑って、彰宏が口づけてくる――。