突然、課長と秘密の関係になりました

「やり直さなくても、課長が一番私の近くにいる気がします」

「――家族としてじゃなくてか。

 いや、結婚したら、どのみち家族になるんだが。

 お前とは家族になっても、家族でいたくないというか。

 いい意味で距離感が欲しいというか。

 ずっと恋人同士のようにいたいというか。

 俺は家庭環境がちょっとあれだったんで。

 どのみち、普通の家とかよくわからないんだが……」

 いや、うちもですよ。

 そういえば、結局、私は昴さんの子で。

 課長は違ったってことだろうかな。

 じゃあ、私は、ぐるっと回って、ようやく自分の家に帰り着いたということなのか。

 でも、ここで結婚したら、また新しい家庭になっちゃうな。

 そんなことを考えている一彩に彰宏は言う。