アヌビスはまだ起きていた。
令美や黒須や一征がくれたおもちゃでアヌビスと遊ぶ。
「これ、猫用じゃないか?」
「犬も遊ぶんじゃないです?」
と魚のついた釣竿のおもちゃをアヌビスの前に垂らして、
仕方がないのう、というように、アヌビスに、てしっ、と叩かれながら、彰宏と話す。
「さっき思ったんだ。
全部やり直せればいいのになって」
「え?」
「お前と出会った一からやり直したい」
「……入社式からですか?」
いや、入社試験の面接からか?
と思ったが、彰宏は、
「新幹線ですれ違ったところからだ」
と言う。



