帰って、みんなにもチョコを配り、和気藹々とその日は過ごした。
寝ようかな、と思う頃、彰宏が訪ねてくる。
「応接間に行って、アヌビスと遊ばないか」
……アヌビス、もう寝てるかもですよ、と思う彰宏の手には何故か蝋燭があった。
一彩の視線に気づいて彰宏は言う。
「これか。
これは、今から、お前といい雰囲気になろうかと思って。
キャンドルを持ってきたんだ」
お寺の蝋燭に見えるのですが。
怪談がはじまりそうですよ。
あと、いい雰囲気になろうと思って、と言われてしまったら、身構えてしまって、もうなれません、
と思う。
そんな視線に気づいたのか、彰宏は、
「……これでは盛り上がらないか。
では、一からやり直そう」
と言って、部屋に戻ろうとする。



