「それでなんでラブラブになってないのよっ」
たまたま書類を持ってやってきた令美に事の顛末を話すと、そう言って叱られた。
「いや~。
それが、なんかお互い、試合のあとみたいな爽快感に包まれて」
そんな雰囲気じゃなかったです、と一彩は報告する。
「ちょっとっ。
課長は何処っ?」
令美は彰宏のいないデスクを見ながら叫んだ。
「近場に出張です」
「このタイミングを逃してどうするのっ。
追いかけてって、もうちょっと雰囲気盛り上げてきなさいよっ」
横を通った部長が苦笑いしながら、
「いや、仕事して……」
と言っていた。



