突然、課長と秘密の関係になりました

「お疲れー。
 おい、一彩。

 俺、まだチョコもらってないんだけど」
と通りかかった黒須が言う。

「あ、ごめんっ。
 全部配ったっ。

 デスクの引き出しにチ◯ルチョコがあるから、自分でとってっ」

「渡してもくれねえのかよっ。
 ってか、なにやってんだよっ」

「課長にチョコを渡したいのっ」

「なにっ?」

「なんとか渡したいのっ。
 このチョコを投げつけてでもっ」

「バレンタインとはっ」
と遠ざかる黒須が叫んでいた。

 その間も早足で逃げる彰宏。

 追う一彩。

 廊下の突き当たりまで追い詰められた彰宏は、キョロキョロしていたが。

 すぐ近くにあった倉庫の扉を開け、駆け込んでいってしまった。