そうこうしているうちにバレンタインがやってきた。
一彩は手作りの小さなチョコをポイポイと出会った人に男女問わずに配る。
「えーっ。
なんか可愛い。
お洒落じゃん」
「今回はキットカッ◯じゃないの~?」
と他部署の先輩に笑われる。
「課長が作りました」
と言うと、みんな沈黙した。
そして、あろうことか、この本命チョコも彰宏が作ったのだ。
つるんと美しい大きなハート型のチョコで、ラッピングも妖精の羽根のようで可愛らしい。
「……でも、これは……」
と幾つかのリボンが淡いグラデーションになって結んである奇跡のような美しさの包みを見て、令美が呟く。
「そう。
課長が作りました」
「どういうこと?
これを俺にくれってこと?
ちょっと意味がわからないんだけど」
「斬新だね」
とすみれも笑う。



