突然、課長と秘密の関係になりました

 


 すごい可愛かったな。

 部屋に入った彰宏は、赤くなってしまった顔を封筒で(あお)いでいた。

 同居する前、職場で見ていたら、

「だらしない顔と格好をするな。
 しゃんとしろっ」
と叱りつけていたことだろうに。

 今は、気の抜けた感じがどうしようもなく可愛いとか思ってしまうっ。

 恋とは恐ろしいな。

 自分の制御が効かない、と彰宏は思っていたが。

 一彩が聞いていたら、

「待ってください。
 私、職場にこの格好と顔で現れません。

 そんなことしたら、さすがにオフィスがざわつきますよ」
と言っていたことだろう。

 ちなみに、今までもそれなりに、一彩がときめきそうなことを言ってはいたのだが、いつも一言多かった。

 だが、今回は、寝ぼけた一彩の愛らしさに照れた彰宏が、その余計な一言を言わずに去ってしまったので。

 『課長、格好いいっ!』で一彩の感情が固定されてしまったのだ。