突然、課長と秘密の関係になりました

 そんな、彰宏に、

「そこ、今、気づくな」
と言われそうなことを考えていた。

 軽く触れるだけのキス。

 嫌じゃなかったけど。

 でも、ときめくとかいうより、

 いや、何故、突然っ?
と思う気持ちの方が強かった。

 課長が私を好きだとか、実感として、まだ、あまり感じられないというか――。

「お母さん」
と一彩は鍋の湯気越しに母を見る。

「愛ってなに?」

「そんなの考えたこともないわ。
 頭で考えることじゃないし」

 湯葉入り豆腐をパクつきながら、朱鷺子は言う。