「新しい家族と同居してると聞いて、心配してたんだが、幸せそうでよかった。
愉快な家族だな」
翌朝、もう帰るという良也を一彩は車で送った。
駅が見えたころ、そんなことを言い出した兄に、
珍しく、兄が兄らしいことを言っている……、
と一彩は思った。
「俺が早くに家を出て、フラフラしてたから、お前も苦労しただろう。
おふくろは、家のことには無頓着だから」
わかっているなら、何故、出て行きました……。
「でも、お前のことはずっと心配してたんだ」
一彩、と兄は一彩の肩を叩いた。
「今まで大変だったことをすべて帳消しにするような幸せがお前を待っていると信じているぞ。
これまでのことは、すべて忘れて、幸せになれ」
「ありがとう、お兄ちゃん。
……でも、お金は返して」
最後に会ったとき、ちょうど今、持ち合わせがないという良也にお金を貸したままだったのだ。



