突然、課長と秘密の関係になりました

「鍋が多いですね。
 パントリーに鍋のタレ、たくさんそろえてますよ。

 新しいの見つけると買ってきてるみたいで。
 温まるし、簡単だし、お肉も野菜もとれていいって。

 そういえば、この間、課長が用事してるときに、
『今日のメニューはなんですか?』って訊いたら、

『豚と鶏と白菜』
 って原材料名だけ言われました」
と一彩は笑う。

 そんな一彩を一征は笑わずに見ている。

「……職種が似ているせいか。
 彰宏は、兄弟の中で、唯一、ライバルだと認識している奴なんだ」

 そういえば、今も浩司さんがなにを作るのかとは訊かなかったな、と思ったとき、一征は立ち上がりながら、カラになっていた一彩の紙コップをとった。

 そのまま捨てに行こうとする。

 いやいやいやっ。
 専務様にそんなことしていただいてはっ、と一彩は慌てたが、一征はさっさとそれを捨て、こちらを振り返る。