職場の昼休み。
「ねえっ。
この間、テレビでやってたんだけどっ。
アライグマって、害獣なんだって。
可愛いのにっ」
と言う令美に、
「なんでもかんでも洗うから迷惑なんですかね?」
と一彩が言った瞬間、令美がピタリと足を止めた。
「やだっ。
素敵な人がいるっ」
令美が見ている突き当たりに、顔がちょっと濃いめの、鼻筋の通ったイケメンがいた。
営業の部長と談笑している。
「あ、一征さん」
すると、向こうもこちらに気づいたようで、
「一彩」
と手招きしながら、呼んできた。
「もう~っ。
なんで一彩ばっかりっ」
と令美に足を踏まれた。



