突然、課長と秘密の関係になりました

 彰宏は、そういえば、一彩の本棚には、その俺様上司だか、イケメン上司だかとの恋の話はないなと思いながら、見ていたのだが。

 一彩はもちろん、そんなことは知らなかった。

「本棚の中身はお前の中身……」
と彰宏が呟く。

 いや、そう決めつけられるといろいろと困るんですけどっ、
と思わず、本棚を隠したくなる。

 彰宏がこちらを振り向き言った。

「お前は、俺様上司は好きじゃないのか?」

「えっ?
 俺様上司?」
と訊き返した一彩は、一征をそう例えたことなど、もうすっかり忘れていた。

 なので、うっかり、

「ああ、課長のことですか?」
と言ってしまい、

 しまったっ、と思う。

 課長のことを俺様だとかっ。

 課長、仕事中は横暴ですよ、と言っているようなものではないか。