「一征さーん、お茶入りましたよー」
そう言いながら、一彩は二階に上がっていった。
食後、一征の姿が見えなくなったからだ。
ああ、と扉の開いている部屋から声がした。
そこを覗き、一彩は言う。
「あ、ここ、もしかして、一征さんのお部屋でした?」
「そうだが?」
と一征はあの本棚の前で振り返る。
「すみません。
三段ボックスお借りしてます」
そう苦笑いして言うと、
「別にいい。
今、住んでないし」
と一征は本棚を見上げたあとで、
「ここに住んでたときが一番楽しかったかな。
なんか合宿みたいで」
と言った。



