突然、課長と秘密の関係になりました

 


 月曜日、一彩は廊下で彰宏と出会った。

「お、おはようございますっ。
 昨日はありがとうございましたっ」
と頭を下げ、

「助かりました。
 メガ盛り……」
と言いかけたが、

「職場でくだらない話をするな」
とぴしゃりと言われてしまう。

 顔を上げると、彰宏は相変わらずの凍てつくような視線で自分を見下ろしている。

 ……この人とは絶対上手くやれないな~。

 早く出世してどっか行ってくれないかな~とヘタレなことを思いながら、
「すみません」
と一彩は頭を下げて逃げ去った。

『それに、そもそも、その肉は――』
の意味なんて聞けそうにないなあ、と思いながら。