白銀の妖王は、笑わない少女陰陽師を恋う。



「……よろしく、お願いします」


 気がつけばそんな言葉がついて出た。

 赤髪の妖の纏う殺気が棘を増す。一方で、狗神の表情は少しだけ和らいだように見えた。


(拒否すれば間違いなく殺されていた。だからこれで良い。そしてこれからは……)


 きちんと人質として価値のあるように振る舞う。そうすればきっと、生き延びることができる。そして。


(生きてさえいれば、きっとどこかで反撃の機会がある)


 元より、死を覚悟してここまで来たのだ。気まぐれで与えられた猶予を物にしてみせる。

 そんな決意を胸の奥に灯し、紫陽はゆっくりと狗神の手をとった。