響け！月夜のアジタート

熱せられたフライパンの上に卵とベーコンが落とされる。ジュワッという音と共にいい香りがキッチンに漂った。パンが焼けていく。焼けた卵とベーコンが皿の上に移動した。

「おいしそうだ」

着替えを済ませたレオンハルトがキッチンへと来る。魔法でベーコンと卵の乗った皿とパンの乗った皿を移動させ、朝の紅茶を淹れる。紅茶は魔法で淹れず、自分の手で淹れるのはレオンハルトのこだわりだ。

水を沸騰させ、ポットとカップにお湯を注いで温める。温めたポットに茶葉を入れ、お湯を注いで蒸らす。レオンハルトは懐中時計を取り出し、時間を確認した。

「うん。いい頃合いだね」

ポットの中をスプーンで軽く混ぜ、茶漉しで茶ガラをこしながら濃さが均一になるように回してカップに注ぐ。最後の一滴まで注げば紅茶の完成だ。紅茶をテーブルへと運ぶ。

「いただきます」

紅茶を口に入れる。酸味が口の中に広がり、頭がすっきりしていく感覚をレオンハルトは覚えた。パンや卵とベーコンも食べていく。