「周りから自分のやりたいことを理解されないって悲しいよね。でも、その熱量をねばり強くもてば、理解してくれる人はきっといる」

「現れるッスかね!?」

「うん。だってわたし、おもしろいなって思うもん」

「え!?」

「こんなにたこ焼きが好きな人はじめて出会ったし、それを行動に起こそうとするって、すごいって思う!」





彼は目を輝かせて、ねばりのりを大切そうに握った。





「オレ、このノリで部活申請書、とじるっス!」





小さな紙切れに「たこ焼き部、起動!」と走り書きし、それをノリで貼り合わせる。

その瞬間、紙の間に“じわっ”と何か温かいものが通った気がした。





「……な、なんか……オレ、たこ焼きの神に、背中押された気がするっス!!
よし、やります!”たこ焼きオタク“は、止まらねぇ!!部員ゼロでも立ち上げてやるっす!!」

「部活って、そんな勢いでできるの?」

「やる気と、ノリがあれば、いけるっす!!ありがとうございました!!!」





そう叫んで、彼は店を飛び出していった。


台風みたいな男の子だったな……。
ねばりノリなんかなくても、我が道を進んでいけそうなくらい熱い気持ちがあったけど、少しでも背中を押せたのかな?


男の子が出ていった扉を見つめた。


でも……あんなふうに、まっすぐ夢を語れるのって、ちょっとうらやましいな。