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「ここねってさ、ほんと委員長タイプだよね~」
昼休みの教室で、何気なく放たれたクラスメイトの言葉。
以前のわたしなら、「ううん、そんなことないよ……」って、笑ってやりすごしていたと思う。
でも——今日は違った。
制服のポケットの中にある、『つぼみえんぴつ』と『こころカプセル』が手に触れた。
「うん、たしかに。細かいところ気になっちゃうし、真面目にやっちゃうタイプだと思う」
ここねは笑って、さらりと答えた。
無理してへりくだることも、相手に合わせて“いい子”を演じることもなく。
クラスメイトが「えっ、なんか今日のここね、自信ありげじゃない?」と笑いながら言った。
「……かもね。ちょっとずつだけど、“自分”をそのまま出してもいいのかなって、思えるようになったから」
ふいに、近くの席から声がした。
「へぇ、なんかカッコいいじゃん、それ」
顔を上げると、そこには黒瀬くんの横顔。
あいかわらず無愛想だけど、ほんの少しだけ口元がほころんでいた気がする。
その横顔を見て、ここねも同じく口元をほころばせた。



