魔法は、たしかにここにあった。
そして、それはちゃんと自分の中にも、しっかりと根を張っていることに気づいた。
ここねは、静かに文房具たちを見渡した。
あの日、あの子に渡したあのペン、ノート、全部が優しく微笑んでいるように感じた。
あの頃よりも、ずっと素直に、ちゃんと笑えるようになった。
そして、少しだけ、自分自身のことを認めてあげられるようになったんだ。
魔法は、お店の中だけじゃなく、ちゃんと自分の心の中に根を張っている。
そう思うと、胸の奥がじんわりとあたたかく満たされていくのを感じた。
——ラストへ、もう少し。
帰り道、ふと立ち止まり、パレットのガラス越しに映る自分の姿を見つめた。
少し前のわたしなら、きっとこの瞬間をさびしいとは思わなかっただろう。
変わってしまった自分を前に、うれしさと寂しさが交錯し、ほんの少し涙がにじんだ。
そのとき、ポケットの中でメモ帳がかすかに揺れた。
あの“ふりかえりメモ”が、そっとわたしに話しかけてくるようだった。
——わたしは、この場所で、たくさんの出会いと魔法をもらったんだ。
ちゃんと、この場所と、自分の“今”に、ありがとうって言いたい。
そして、もう一歩先へ、歩いていけたらいいな。


