「先生にね、『あなたの言葉には、力がある』って言ってもらえて。
はじめて、ちょっとだけ、自分のこと好きになれたよ」
そう言って、みのりちゃんは照れたように笑った。
それは、春風のようにそっと頬をなでる、優しくて温かい笑顔だった。
あの日、落ち込んでいた姿からは想像できないくらい、まっすぐで優しい。
「ねえ、ここねちゃん。わたしの作文、ぜひ読んでみて」
「もちろん!」
返事は一瞬だった。
たぶん、魔法はいつも、目には見えないところで働いている。
でも——ちゃんと届いている。
ほんの少しだけでも、前を向けたその一歩が、魔法のしるし。
ここねは心の中で、そっと“ぱっちん”と
自分の気持ちもとめていた。
廊下の窓から差し込む青空の光の中で、みのりちゃんの背中が少しだけ大きく見えた。
——心にたまったもやもやは、
ためこむ前に、思いきって破って捨てる。
パーンって。
その音は、彼女の心を軽くしてくれたみたいだった。
ここねは心の中で、そっと“ぱっちん”と音を立てて、自分の気持ちも解き放った。
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