休み時間。
みのりちゃんはここねのところに駆け寄ってきて、耳元でそっと囁いた。
「……あのノートのおかげ、かも」
ここねが驚くと、みのりちゃんは少しだけ笑って、
「パーン!ってね」って、楽しそうにウインクした。
「見て」
そう言いながらみのりちゃんは、カバンからノートを取り出した。
表紙には、自分で貼ったシールと手書きのタイトル。
ページの端が折れ曲がり、書き込みや付箋もたくさん貼られていて、たくさん使われた証だった。
「最初は、ほんとに何も書けなかったの。でも、
失敗したときの気持ちとか、うまく言えなかった想いとか、少しずつ書いてたら……気づいたら、心が静かになってて」
彼女はページを開いた。
赤いインクで書かれた言葉が目に飛び込んでくる。
——“わたしは、伝えることが、好きだ”
「見て、この言葉、わたしが一番大事にしたいことなんだ。
この言葉が、作文に込めたテーマなの。
このノートがなかったら、きっと思い出せなかった」
ここねの胸がぎゅっとなった。
自分が渡した魔法文具が、ちゃんと誰かの心に届いていた。


