——そのとき。
チリンチリン。
またドアが開いて、勢いよく誰かが飛び込んできた。
「うわっ、また紙吹雪じゃなくてよかった~!こんにちはー!」
その声と共に現れたのは、
元気いっぱい、笑顔100%の男の子、空翔くん。
「お、今日は先客がいるんすね!こんにちは、先輩!」
「……あ?誰、おまえ?」
「えっ、俺? 空翔です!サッカー部のエース(予定)!よろしくお願いします!」
「テンション高っっ!……ってか、知り合い?」
「うん、何回か来てくれてるの。空翔くん、今日も来てくれてありがとう!」
「はいっ!今日は、ほら、これ渡したくて!」
空翔くんは、リュックからくしゃっとしたメモ帳を取り出した。
「“応援メモ帳”に書いたメッセージ、試合の前日に全部読んだんですよ。
そしたら……ちょっとだけ、スタメンに入れてもらえたんです!」
「ほんとに? すごいじゃん!」
「はいっ!プレーも上手くいったし、チームメイトから“今日の空翔、かっけー”って言われて……うれしくてさ、
“自分、ちょっとずつ変われてるかも”って思ったんだ!」
「ふーん……バカみたいに素直だね。キラキラしてて、まぶしっ」
まゆちゃんが、毒舌に見えてちょっと照れたような口調でつぶやく。
「え? 俺、褒められてる!? ありがとうございます!!」
「褒めてねぇよ!」
2人のやり取りに思わず笑ってしまった。
空翔くんのまっすぐな姿と、まゆちゃんのちょっとツンデレな反応。
——だけど。
そんな2人が、たしかに前よりちょっとずつ「自分」を大事にできるようになっているのを、ここねは感じていた。


