「……もうさ、自分でもわかんないの。何を望んでるのか。あいつにどうしてほしいのか。あたし、めんどくさい女なのかなって思ったら……余計ムカついてきた!」
その言葉の裏には、誰にも言えなかった“素直な気持ち”がにじんでいた。
ここねはそっと、引き出しからペンを1本取り出す。
「……まゆちゃん、これ使ってみない?」
「……“つぼみえんぴつ”? あんた、前もそれ言ってたよね。成長のやつでしょ?」
「うん。今日のまゆちゃんの“気持ち”、書いてみてほしいの。怒ったことも、悲しかったことも、ちゃんと残して。そしたら……ちょっとずつ、自分の気持ちが見えてくるかも」
「……ふーん。まあ、気が向いたらね」
そう言いつつも、まゆちゃんはその場でえんぴつを手に取り、備え付けのメモに何かを書き始めた。
数分後。
「……“誰かの一番になりたい”って書いた。……キモい?」
「ううん、全然。まゆちゃん、すごく素直でかっこいいよ」
「……バーカ」
そう言って、そっぽを向いたまゆちゃんの横顔が、かすかに赤い。
ここねはふっと笑いそうになったけど、それは胸の奥にしまった。
7ページ目に書いた文章を思い出した。
——『自分の気持ちを打ち明けるのって、怖いよね。
でも、少しずつ心を開いてくれるまゆちゃんを見て、わたしも“挑戦すること”に前向きになれた気がする。』


