お店に到着し、いつも通り開店の準備を始める。
昨日のみのりちゃんの言葉や表情が、頭の中で反芻する。
文具たちが騒いでいても、やっぱり頭から離れなかった。
でも“たこオタ”くんやお姉さん、黒瀬くん、女の子のことで嬉しかった気持ちも思い出した。
悲しい気持ちと嬉しい気持ちがごちゃ混ぜになって……なんだか複雑な気持ち。
気持ちの整理ができていないみたい。
モヤモヤと頭を抱えていると、お店の扉が勢いよく開いた。
「はぁ。また来ちゃった」
なぜかモヤモヤイライラしながら入ってきたのは、まゆちゃんだった。
わたしが初めて魔法を込めた文具を——つぼみえんぴつを渡した相手。
けだるそうにため息をつきながら、カウンター前の椅子にドカっと座った。
「いらっしゃい、まゆちゃん。今日はどうしたの?」
「いや、来る予定なかったんだけど。……ムカついたから、来た」
開口一番、それか。
でも、その顔はちょっと赤くて、目はキラキラしてて、どこか“嬉しそう”。
「好きな人のことで?」
「……は!? なんでわかるの!? やっぱこの店こわ!!」
図星だったらしい。
でも、否定しないで話してくれるのが、今のまゆちゃんだ。
「……いやさ、最近ちょっと、いい感じになってきたかな〜って思ってたの。連絡の返事も早かったし。なのに今日さ、他の女子とふつーに笑って話してたんだよ!しかもあたしの前で!」
「……そっか。ちょっと、モヤモヤするよね」
「“ちょっと”じゃないっつーの!あたし何様!?彼女でもないのに、勝手にイライラして、意味わかんないんだけど!!」
まゆちゃんはついに声を張り上げて、両手で顔を覆った。


