次の日の、学校。
ここねは沈んだ気持ちで、1日を過ごしていた。
「わたしなんか」って、もう思いたくないって思ってた。
でも、心のどこかで、またそう思いかけてる。
——もう、誰かに文房具を渡すのが怖い。
「わたしの魔法なんて、きっと偽物だったんだ」って。
机にひじをついたまま、ぼんやり窓の外を見ていたときだった。
「店員さぁぁん!」
昼休みのざわめきをかき消す、響き渡るようなの声が飛んできた。
声の主は、忘れようのない、たこ焼きへの愛を全身で表現していた男の子だった。
——わたしの、最初のお客さん。
「ちょ、ちょっと! 静かにしてっ」
「え? なんでッスか!?」
「あのお店の店番やっていること、みんなにはナイショだから」
「なんでナイショなんスか!?」
なんでと言われたら、なんでだろう。
でも、魔法のことを信じてくれない人はたくさんいるだろうし。
少しうつむいていると、たこオタくんは気にせずボリュームの大きい声で話し始める。
「あの“ねばりのり”さ、やばかったッス! ほんとに効いた!」
ここねは思わず笑ってしまった。
たこオタくんは、あのときと変わらない満面の笑顔で、ここねの目の前に立っていた。


