わたしは、商品棚の前に立ち尽くしていた。
「……わたし、間違えたのかな」
みのりちゃんの言葉が、心にひっかかったまま取れない。
あの子を元気にしたくて選んだのに。笑顔にしたかっただけなのに。
——でも、それはわたしの自己満足だったのかもしれない。
「……“魔法”って、なんなんだろう」
これまで渡してきた人と文房具たちのことが、胸の奥からよみがえってくる。
あの子たちも、本当は無理して笑ってたんじゃないか。
わたしは、勝手に“良い方向に変わってる”って思い込んでただけで。
「なんで、わたしなんかが……」
指先が、震えていた。
店長に任されたときは嬉しかった。
でも、もしこの店に立つ資格がなかったら?
もし、わたしが誰かを傷つけていたら?
魔法文具屋「パレット」は、たくさんの笑顔をくれた場所だった。
でも今は、どこか遠く感じてしまう。
——わたしの“魔法”は、間違っているのかもしれない。


