ここねの胸が、ぽっと温かくなった。
どこの誰を想っているかなんて、聞く必要がなかった。
だってこんなに、前向きに自分の気持ちを育てようとしているんだもん。
「ちゃんと自分の気持ち、育ててるんだね。それって、すごく素敵なことだと思うよ」
「……ほんと、あんたってすぐ人のこと褒めるよね。そういうとこ、ずるい」
言いながらも、まゆの口元はほんの少しだけ、綻んでいた。
「……つぼみ、咲くかもね」
「咲かないかもよ」
「でも、水あげてるでしょ?」
「……まぁね」
夕暮れの光が、教室の中を淡く照らしていた。
その光の中、まゆの背中は、ほんの少しだけ——以前より軽く見えた。
恋って、ステキ。
人の良いところを見つけて、そこを想うことができるって、すばらしいことだと思う。
それが仮に実らなかったとしても、それだけで自分自身が成長できる。きっと、強くする。
わたしもいつか誰かに、恋をする日が来るのかな。
いつか来たら、うれしいな。
そのときは——
わたしの中の“つぼみ”も、そっと咲いてくれる気がする。
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