10日目の夕方、パレットの扉がちりんと鳴った。
「……ふーん、これが例の“魔法文具屋”ってやつ?」
入ってきたのは、先ほど学校で喋っていたまゆちゃん。
パステルカラーの髪飾りに、柔らかなニット。
一見ふんわりした雰囲気なのに、その目線は鋭くて、どこか人を試すようだった。
「いらっしゃいませ!魔法文具屋パレットへようこそ!」
少し驚きながらもここねが笑顔で迎えると、まゆちゃんは少し顔をしかめた。
「……うわ、またあんた? ここで働いてるの。
……なんか、こういうの、似合いすぎてて逆にムカつく」
ちょっぴりトゲのある言い方。
でも、それはたぶん“防御”なんだ、とここねは思った。何かを隠してる子の目だ。
まゆはぐるりと店内を見回した。
「なにか探してる?」
「あー……ううん、別に。ウワサだけ聞いて来ただけだから。ほんとはこういうの、信じてないし」
口では否定しながらも、その視線はあちこちの棚に引き寄せられていた。
指先が、無意識にディスプレイに触れそうになっている。


