魔法文具屋で、“わたし改革”はじめます!






「——なんか、あんたって、すぐ人に優しくするよね」





放課後の廊下。
クラスメイトのまゆちゃんは眉をひそめ、少し冷たい声で言った。
窓から差し込む夕陽が、まゆちゃんの横顔をふわりと照らしていた。


まゆちゃんとは、特に深い話をするわけでもなく、どちらかと言えば距離のある関係だった。
挨拶は交わすけど、それ以上はあまり話さない。そんな存在。


今日もまた、先生からの頼みでノートを集めてそれを職員室へ運ぼうとしたときに言われた一言に、ここねは言葉に詰まった。





「……それってつまり、ナメられてるってこと、わかってる?」




まゆの言葉は鋭くて、思わずここねの胸がきゅっと締めつけられた。


毒舌で一匹狼タイプ。
だけど、言葉の奥に“やさしさ”が見える。
ここねは、にこっと笑った。





「心配してくれてるんだよね? ありがとう」

「はぁ? 心配なんかしてないんだけど。ただ、イライラするだけ」





前のわたしだったら、もしかしたら傷つく言葉。
でも今は、少し前向きに考えられるようになった。





「だって、わたしが誰に優しくしようと無視してればいいのに、わざわざそれを言いにくるって、心配してくれたんじゃないの?」

「はぁ? あんたどんだけ脳内お花畑なの?
……もう、いいや。気にしないで」





大きくため息をついたまゆは、足早に昇降口の方へ歩いていった。
その背中には、少しだけ寂しさが滲んでいるように見えた。