「なにこれ!?なんか、じーっと見てくるペンがあるっす!」
空翔が目を丸くして指さしたのは、“ガン見シャープペン”。
芯を出すたびに「見てるぞ……やってるか……?」と声をかけてくる、集中力アップ(たぶん)の魔法文具だ。
「……それ、集中するには逆にプレッシャーになるって苦情きたやつ」
「マジか。でも、ちょっと気になる。やる気出そうっす」
空翔はクスクス笑ってから、ふと真面目な顔になった。
「ねえねえ、このお店ってさ、文房具に“魔法”がこもってるんですよね?」
「えっ……うん。店長さんが作った“魔法文具”。その人に合った文房具が、なんとなく引き寄せられるって言ってた」
「じゃあさ、オレにもなにか、ぴったりのやつ……ありますかね?」
空翔くんは、少しだけ不安そうに、でも期待に満ちた目で見つめてくる。
……ぱっと見は明るいけど、目の奥にちょっとだけ“迷い”が見えた気がした。
「……見てみる?」
ここねが小さく笑うと、空翔くんはぱあっと顔を輝かせた。
「マジっすか!?よろしくっす!」
ここねは空翔くんを店の奥に案内しながら、自分でも不思議な気持ちだった。
“任されてる”ってだけだった店番が、今はちょっと楽しくなってきてる。
誰かの悩みや想いに、文房具を通してふれられるこの仕事は、なんだかとてもあったかい。


