とはいえ、努力や成長を見つけるたび、こんなことになっては困る。
「片付けなきゃ……」
ここねがホウキを持ったそのとき。
「……えっ? パーティー中?」
扉が開く音がして、声が聞こえた。
振り返ると、キラキラ舞う紙吹雪の向こうから見知らぬ男の子が顔を出していた。
子犬みたいなくしゃっとした茶髪、スニーカー、少し大きめの制服。
「うわ、すご……。え、え、何これ。もしかして入っちゃダメなやつでした?」
「……あっ、いや、違います!あの、たまたま今……その、イベント中というか!」
「パーティー?」
「パーティーでもないですっ!」
ここねの顔が真っ赤になる。
そんなここねを、男の子は楽しそうに眺めた。
いけない。大事なこと言っていなかった。
「えっと……いらっしゃいませ。魔法文具屋パレットへようこそ」
「ははっ、おもてなしありがとうございます!一緒に片付けますよっ」
「え、そんなお客さんに、」
「いいっす!楽しそうだから!」
キラキラした目、そして全力の笑顔。
まるで、走ってきたテンションのまま世界に突っ込んでくるような男の子だった。
ここねは少しだけたじろぎながら、好意を受け取った。
「オレ、空翔っていいます!中学1年っす!えっと、サッカー部です!楽しいこととか新しいことが大好きで!
ここのウワサを聞いて、ぜっったい来たくて!」
「え、ええと……ありがとう……?」
ホウキを片手に男の子は棚を見ながら、やたらテンション高く、どの文房具にも反応していく。
「おっ、これ『しゃべる消しゴム』!? しゃべる意味あんの? 最高じゃん!」
「えっと、」
「うわ、これ見てください!『ヘコんだ心に貼る付箋』? 貼るだけで立ち直れんの? そんなん貼っとくわ、毎日」
なにこの子。めちゃくちゃ自由……!
引き受けてくれた片付け、全然進んでないし……!
でもなんか、見てるだけで明るくなれる。笑顔になれる。


