ハサミが、勝手に開いて紙を切りはじめた。
「えっ!?」
慌てて身を引くここねの目の前で、ラッピング用の色紙がバサバサと切り裂かれ、天井に向かって紙吹雪が舞い上がる。
「祝うぞ〜!!今日も祝うぞ〜!!!」
ハサミのくせに、やたらテンションが高い声まで響いてくる。
紙吹雪はあっという間に店内に広がり、店内はまるでパーティー会場のようなキラキラ空間に。
「ちょ、ちょっと!?やめ、やめて!?なんで!?」
棚にあったメッセージカードが空中を舞い、その間からハサミがキレよく踊りまくっている。
なんでこんなことに……あっ!
ここねは、ふと“コンパスノート”の表紙が棚の下に置かれていたのを思い出す。
女の子が言っていた「”すこしずつ“だけでいいから、進んでみよう」——あの言葉。
「……これに反応したの?」
ここねは、紙吹雪の中でハサミをそっと掴んだ。
「誰かのがんばりとか、そういう“芽”を、ちゃんと見つけてお祝いしてくれるんだ……」
紙吹雪が静かに舞い落ちる中、ここねの胸の奥が少しだけあたたかくなった。
わたしもちゃんと見てあげなきゃ。
誰かがちょっとでも前に進めた時、その一歩を一緒に喜べるように。


