3日目の放課後。
ここねは、ようやく少しずつ商品たちの居場所や特徴を覚えてきた。





「よし、ペンコーナーも整理完了……」





机の上に並べたのは、2本の個性的なボールペン。
ひとつは、キャップに小さな雷マークがついた『なんでも強気ボールペン』。
もうひとつは、クリップ部分にクローバーのチャームが揺れる『やさしさにじむボールペン』。





「うん、色合いも映えるし、仲良く並べたら……」
と、思ったのも束の間。



——カチンッ。


突然、《なんでも強気ボールペン》が小さく震えたかと思うと、ビシッとまっすぐ立ち上がった。




「は? なんでこんな泣き虫と隣なの?」




え? ボールペンがしゃべった!? いや、そんなまさか……。

しかし、続いて『やさしさにじむボールペン』がふるふると揺れながら言った。





「わたし、別に泣き虫じゃないよ。ただ……人の気持ちに寄り添いたいだけなの……」

「甘っちょろいんだよ、お前は! 人間なんてズバッと言われなきゃ変われないんだって!」

「そんなふうに言われたら、傷ついちゃうよ……。それじゃ、心が遠ざかるよ……」





しゃべるどころか、魔法文房具同士がケンカ!?
そんなこともあるの!?

ここねは、オロオロしながら手を伸ばす。





「ちょ、ちょっと待って!? ケンカはダメだよ!」




2本のペンは、机の上でバチバチに火花を散らしている。




「うるせえ! 俺は喝を入れるために生まれてきたんだ!」

「でも、やさしい言葉に救われることだって、あるよ……!」






ここねは両手をパッと広げて、ペンの間に割って入るように声をあげようとした。——そのとき。