今夜、星影を溶かして【完】



そうして、何十分過ぎただろうか。




「うし、到着!」



「長かったっすね……んー、腰痛え」



「おい、女降ろせ。もうすぐ起きんだろ」



「ういっす」




どうやらようやく着いたようだ。



私は耳を澄ませて状況を把握すると、2人のうち1人が荷台に近づいてくるのを認識する。



荷台を開けた瞬間に逃げ出そう。それでできればお店に近づかずにどこかに逃げれればいいけど。



無理だったらお店に入ってなんとかしよう、と意気込んで、私はすぐ動ける体勢となって待ち構える。




「商品の御成ですよー……っとぶあ⁉︎」




呑気にも鼻歌を歌いながら荷台を覗き込む中年の男。



そいつの顎を容赦なく蹴り上げると、私は車から飛び出した。




「うわトラックじゃん、どうりで荷台なのに広いと思った」



「は⁉︎なんで動けて……⁉︎」




振り返ると大型トラックだった。



確かに山の中でトラックを見ても不思議に感じないし、まあ合理的、なのかな?



まあどうでもいいか。



驚きのあまり行動の起こせないおじさんの尻目に、私はさっさと逃げ出した。




「おいどうした!」



「しょ、商品が逃げました!!」



「はっ⁉︎」




店の近くには防犯カメラがあるかも――あるかなあ。違法店だからないかもしれないけど。



あったら厄介なので、顔を隠しながら走っていく。




「足はやっ!」



「おい!待てコラ!!!」




完全に逃げ出した、その上で2人が追いかけてきたところで、急停止して振り返る。



私のスマホは多分どっちかが持ってるはず――あった!リーダーの方のポケットに入ってるな。




「ふっ!」



「うおっ⁉︎」




大きく踏み込んで距離をつめ、スマホを奪還。



よかった、パスワード設定しといて。……うん、動作は問題なし。



一応この2人の写真を撮っておこう。はいチーズ。



よし、それじゃあ今度こそ、逃げるといたしますか!



そうしてスマホを手に、もう一度走り出したところで――……