とある撮影終わりの帰り道＿＿＿
荷物を持って歩いてたら
ふいに後ろから声がした
「奈々」
「わっ…！涼真くん？びっくりした…」
「へ？そんなに驚く？」
ちょっと笑いながら隣に並んでくる
「もしかして今日も撮影？」
「うん。昼からだったけど…早く終わったからさ」
歩幅を合わせてくれるのが
なんか自然すぎて不思議な感じだった
「頑張ってんじゃん。最近、調子良さそうだな？」
「えへへ…！昨日も今日も褒められちゃった」
「だろ？成長してんだな！」
「ん、でもね…」
少しだけ足元を見ながら呟いた
「まだ台本読んでると、ここの気持ちって…？って迷う時もあって」
「うんうん」
「そのたびに、涼真くんの芝居思い出してるんだよ！」
「お、それは光栄だな」
ニヤって軽く笑う涼真くんに
つられて私も笑ってしまった
「それでさ…」
「ん？」
「良かったら今度、ちょっと演技のこととか聞きたいなーって思ってたんだけど…」
言いながら
ちょっとだけ顔が熱くなる
「全然いいけど？」
「ほんと？」
「むしろ聞いてくれて嬉しいくらいだけど」
「よかったー…あ、じゃあさ
ご飯行かない？話したいことも色々あるし！」
自分から誘っといて
言った瞬間ドキドキしてた
でも
涼真くんは全然自然で
「いいよ。ちょうど腹減ってたし」
サラッと答えて歩き出すから
余計に心臓がバクバクしてた
「じゃ、近くで探すか？」
「うんっ！」
