──数日後
会場には多くの報道陣
無数のカメラのフラッシュが瞬くなか、
奈々と涼真が並んで姿を現した
涼真が、マイクの前に立つ
「本日はお忙しいなかお集まりいただきありがとうございます」
「今日は皆さまに、大切なご報告があります」
一礼のあと、私も少し緊張した面持ちで続ける
「私、桐谷奈々は……神谷涼真さんと、交際させていただいております」
「公私共にお世話になっている皆さま、そして応援してくださっている皆さまに、嘘をつき続けるのはよくないと思い、このような場で、きちんとお伝えすることを決めました」
__少し会場がざわつく
涼真はまっすぐ前を見て、言葉を重ねた
「そしてひとつ、報道に関して訂正をさせてください」
「先日、美月さんとの距離感を指摘する記事が出ましたが……あれは現場で、彼女が少し落ち込んでいた時、俺が声をかけた瞬間の写真でした」
「それ以上の関係ではありません。誤解を与えてしまったこと、本当に申し訳ありません」
奈々もすぐに口を開いた
「私も写真を見たとき、正直驚きました」
「でも、涼真くんは何も隠さず、ちゃんと話してくれて……その姿に迷いはありませんでした」
「だから今日、こうして自分の言葉で、皆さんに伝えることができています」
記者のひとりが質問を投げる
「交際発表によって、今後の活動に影響は?」
涼真は少し微笑んで答えた
「すべての作品に、これまで以上の覚悟を持って臨みます」
「奈々と出会って、俺はもっと役者として強くなりたいと思えるようになったんです」
「支え合いながら、それぞれの道を真っ直ぐ歩んでいきます」
奈々も笑顔でうなずきながら
「私もまだまだ未熟ですが、だからこそ成長を見てもらえるように頑張ります」
「これからもどうか、温かく見守っていただけたら嬉しいです」
会場には自然と拍手が広がっていった



