目線が重なったまま
数秒沈黙してた

 

呼吸の音まで聞こえそうな距離

 

自分でもわかるくらい
顔が熱くなってる

 

「……あ、あの…」

 

声が少し震えた

 

涼真くんは何も言わずに
静かに私の目を見てた

 

けど
その喉が小さく動いたのが
視界の端に入った

 

──やば…これ、無理…

 

「……え…えっと……!今日はこのへんで大丈夫!かなって」

 

私は急いで台本を閉じた

 

「……大丈夫って?」

 

涼真くんが
少しだけ目を細めたまま笑った

 

「ちょ…ちょっと休憩…しよ?」

 

「…もう?…んまあいいけど」

 

…ふぅっと息を吐く

 

けど


内心はもっとバクバクしてた…
 

 

──なんかさっきの涼真くん
私の知ってる涼真くんじゃなかった気がする…

 

まるでほんとに、恋人みたいで…

涼真くんが言っているようで…



ほんとに

…さっきのが演技なのかわからなかった


でも一瞬…

涼真君が戸惑ったように見えた気もする…

 

私…考えすぎかな…?

 
緊張しすぎて何も…

頭に入ってこない…
 




空気が妙に静かになって

 

私はわざと話題を切り替えた

 

「そ、そういえばさ!次の現場
わたしたち一緒になるってマネージャーさんから聞いた!」

 

「おう。スケジュール見たわ」

 

「なんか…嬉しいね」

 

「……だな」

 

一瞬間が空いて
涼真くんも少し照れたように笑った

 

「……また一緒の現場、楽しみにしてる」

 

自然にそんな言葉が出た

 

ほんとに今、胸がぽわぽわしてた

 

それって――…

 

──もしかして私…好きなのかな

 

ふいに
そんな考えが浮かんできて…




…自分でもびっくりしてた