___休日

 

今日は涼真くんの家で
例の演技の練習を見てもらう約束をしてた

 

最初に練習相手の話を聞いた時は
正直ちょっとびっくりしたけど…

 

撮影スタジオだと落ち着かないし
人目もあるからってことで

じゃあうち来るか?って流れになった

 

……でも
家って……家だよね?

 

約束の時間が近づくにつれて
心臓がバクバクしてた…

 

待ち合わせ場所は
駅前のカフェの前

 

先に着いた私は

ドキドキしながら辺りを見渡してた

 

そこに
キャップを深めに被った涼真くんが歩いてくる

 

「悪ぃ、待った?」

 

「あ、ううん!今来たとこ…」

 

自然にそう答えたけど
内心はちょっとテンパってた

 

「ならよかった。じゃあ行くか?」

 

「う、うん!」

 

少し歩いて
タクシーに乗る

 

移動中は
なんとなく沈黙になった

 

窓の外を見ながら
余計なことばっか考えてた

 

──家ってどんな部屋なんだろ

──私…変に意識しすぎじゃない?

──別にそういうわけじゃないし…!

 

 

そして
そんな考え事をしているうちに
私たちは涼真くんの家の前に着いた

 

「ここ、俺ん家」

 

オートロックを抜けて
マンションのエレベーターに乗り
数階上がった先

 

「どうぞ」

 

涼真くんが扉を開けると
ふわっといい香りがした

 

「おじゃまします…」

 

「適当に座ってていいぞ」

 

部屋は
シンプルで広すぎず
落ち着いた感じだった

 

黒系のソファ

観葉植物

大きめのテレビ

 

ちゃんと生活感があるのに
やっぱりどこか大人っぽくて…

 



──なんか…かっこいい…

 

靴を脱ぎながら
そんなことを思ってた

 

「飲み物適当に出すけど、何がいい?」

 

「えっと…お茶とか?」

 

「お、了解」

 

キッチンに向かう涼真くんを見つめながら
心臓がずっと落ち着かなかった

 

 

──いよいよ…練習、始まるんだよね…?